今回は、司法書士試験の初学者が心がけるべきことについて書きます。
これから司法書士試験の勉強をはじめる方の参考になればと思います。
司法書士試験の試験科目
まず、司法書士試験には、以下のとおり、11種類の試験科目があります。
- 民法(午前・択一20問)
- 会社法・商法(午前・択一9問)
- 憲法(午前・択一3問)
- 刑法(午前・択一3問)
- 民事訴訟法(午後・択一5問)
- 民事執行法(午後・択一1問)
- 民事保全法(午後・択一1問)
- 供託法(午後・択一3問)
- 司法書士法(午後・択一1問)
- 不動産登記法(午後・択一16問/午後・記述1問)
- 商業登記法(午後・択一8問/午後・記述1問)
上記のとおり、科目数が多く、難易度以前に、挫折してしまう受験生がとても多いです。
その上、細かな知識が問われる問題も多く、学習する範囲・量も膨大になります。
これが、司法書士試験が短期間で合格することが難しいと言われる理由でもあります。
司法書士試験の合格に必要な勉強時間
司法書士試験では、一般的に3000時間前後の勉強時間が必要と言われています。
ただ、実際のところ、合格までに必要な時間は人それぞれです。
専業受験生であれば多くの時間をさけるため、その分早く合格できるかもしれません。
また、法律学習の経験があれば理解スピードも早まるため、その分早く合格できるかもしれません。
(世の中には数ヶ月で合格する方もおり、いかに効率的に学習を進められるかが鍵になります。)
各人が置かれた立場・境遇に応じて、まず何ヶ年計画で合格を目指すのか定めましょう。
司法書士試験の勉強のはじめるにあたっての留意点
司法書士試験の勉強をはじめるにあたり気を付けるべきことをまとめておきます。
- 大まかな勉強スケジュールを決める
- 土台となる知識を身につけることからはじめる
- 最初からテキストを完璧に覚えようとすべきではない
大まかな勉強スケジュールを決める
まずは、勉強開始から試験当日までのスケジュールを立ててから試験勉強に着手しましょう。
スケジュールを立てずに膨大な量の司法書士試験の勉強を乗り切ることはまず不可能です。
合格までの期間の目標を立てたら、それに合わせたスケジュールを立てましょう。
また、一度立てたスケジュールは定期的に見直し勉強の進捗度合いに応じて修正しましょう。
スケジュールは、やや達成するのが難しそうではあるが決して不可能ではないと思われる程度で設定することをおすすめします。
なぜなら、あまりに高すぎる目標だと、勉強する気力が失せてしまいすぐに挫折してしまうからです。
一方で、あまりにハードルが低すぎると、日々の勉強が進まなさ過ぎてモチベーションの維持が難しくなります。
あくまで、現実的なラインの範囲内でスケジュールを立てることを心がけましょう。
土台となる知識を身につけることからはじめる
まず、試験勉強をはじめたら、土台となる知識を身につけましょう。
広く浅くでも良いので、知識の受け皿を作るイメージです。
最初から一つの科目を完璧にしてから次の科目に進もうとしてはいけません。
本試験では細かい部分の知識まで問われるため、1周目の勉強で合格レベルの知識を身につけることは不可能です。
どの資格や試験科目にも言えますが、反復継続して学習する中で理解が深まり知識が定着します。
(2周目・3周目になると前回分からなかった論点がスッキリ理解できることも少なくありません。)
司法書士試験のように勉強量の多い試験であればなおさらです。
最初からテキストを完璧に覚えようとすべきではない
テキストに書いてある知識をやみくもに詰め込もうとしてはいけません。
本試験に出題されやすい論点と出題されにくい論点があります。
(テキスト上のすべての論点がまんべんなく出題されるわけではありません。)
そのため、まずは出題頻度の高い知識を定着させることを目指すべきです。
基礎知識を固める上で避けて通れないのが、過去問を使った問題演習になります。
(過去問を何週か回していれば、頻出論点の知識は比較的すぐに頭に入ってきます。)
ちなみに、自分が実践した過去問演習は、以下のような流れになります。
- テキストを精読する(わからない論点については印をつけてそのまま進む)
- 該当箇所の過去問を解いたあとに過去問題集の解説・関連条文を精読する
- 解説を読んでもわからない箇所はテキストに戻って読み直す
- それでもわからなければ講師や受験仲間に質問・相談する(予備校利用者のケース)
科目間のつながりも重要
司法書士試験では、他の科目とつながることも少なくありません。
(各科目の理解が進めば科目間のつながりが理解でき、全体としての理解も深まります。)
不動産登記法の論点には、判決による登記がありますが、不動産登記法の知識だけではこの論点は理解できません。
なぜなら、判決による登記を理解するには、以下の法律の理解が不可欠になるからです。
- 不動産登記法
- 民事訴訟法
- 民事執行法
確かに、判決による登記を認める根拠(条文)自体は、不動産登記法にあります。
一方で、根拠条文中の文言(確定・判決等の文言)については、民事訴訟法・民事執行法に規定が存在します。
そのため、民事訴訟法・民事執行法の理解ができてはじめて、判決による登記(不動産登記法)の理解もできることになります。
上記のほかにも、司法書士試験では、科目間でつながりがある論点が少なくありません。
ある程度学習が進んだら他の科目間のつながりを意識することでさらに理解が深まります。