法律の学習経験がない方にとって、司法書士試験の科目は手ごわいものばかりです。
どの科目も堅苦しい専門用語が登場し、慣れるまである程度時間もかかります。
また、試験範囲が広く、知識定着のために反復継続した学習が必要になってきます。
自分は、大学時代に法学部に在学しており、行政書士の勉強をしていました。
そのため、法律の世界観や堅苦しい専門用語にも慣れているつもりでした。
しかし、そんな自分でも、司法書士試験の受験勉強の際に、多くの科目に苦戦しました。
そんな自分の経験を踏まえて、多くの受験生が苦手としやすい試験科目についてご紹介します。
司法書士試験の試験科目とは
司法書士試験には、以下の11種類の試験科目があります。
- 民法(午前・択一20問)
- 会社法・商法(午前・択一9問)
- 憲法(午前・択一3問)
- 刑法(午前・択一3問)
- 民事訴訟法(午後・択一5問)
- 民事執行法(午後・択一1問)
- 民事保全法(午後・択一1問)
- 供託法(午後・択一3問)
- 司法書士法(午後・択一1問)
- 不動産登記法(午後・択一16問/午後・記述1問)
- 商業登記法(午後・択一8問/午後・記述1問)
試験科目が多いため、難易度以前に、挫折してしまう受験生が多いのが実情です。
司法書士試験の難易度(苦手にしやすい科目とは)
受験生ごとに様々なバックグラウンドがあるため、得意・不得意は人それぞれです。
自分の周りの司法書士や受験仲間にも苦手だった科目を聞いたことがあります。
自分の主観で恐縮ですが、試験科目の難易度をランキング形式にまとめてみました。
第3位:民事訴訟法
民事訴訟法は、民事に関する紛争(裁判等)の手続きについて定めた法律になります。
出題範囲は、裁判管轄・当事者・訴訟手続・証拠・訴訟の終結等様々なものがあります。
また、手形・小切手訴訟・少額訴訟・支払督促という裁判手続についても問われます。
法律事務所で働いていた方や裁判関係の仕事をしていた方であればイメージしすいと思います。
まずは、手続きの大まかな体系や流れについて理解しましょう。
全体像を把握した上で細かな知識のインプット・アウトプットを進めるが効率的です。
民事訴訟法の考え方を理解できれば、民事執行法・民事保全法の理解にも役立ちます。
また、不動産登記法の分野では、判決による登記の論点が出題されます。
民事訴訟法の理解は、司法書士試験合格のためには避けて通れません。
第2位:不動産登記法(総論)
多くの受験生が苦戦する科目の一つとして、不動産登記法の総論の分野があげられます。
不動産登記法は、司法書士のメイン業務の一つである不動産登記の根幹をなす科目です。
択一・記述のいずれにおいても出題されるため、多くの勉強時間を割くべき科目です。
他の科目にも言えますが、インプット・アウトプットの反復により知識を定着させるのが基本的な勉強法です。
不動産登記法の各論は、民法の理解が進めばそれほど苦戦しない方が多いです。
一方で、不動産登記法の総論は、抽象的な規定が多くイメージがしにくい分野です。
総論は、不動産登記手続特有のものであり実務色が強い分野と言えます。
(司法書士事務所の補助者経験があれば、比較的とっつきやすいかもしれません。)
総論分野は、なるべく具体的な手続きの場面を想像しながら学習しましょう。
第1位:会社法
司法書士試験において合否を分ける科目の一つとして、会社法があげられます。
会社法の条文は、無味乾燥な規定が多く、最初はイメージがしにくいものです。
また、民法に引けを取らない条文の多さも特徴的です。
企業の法務部や総務部にいた方であれば、比較的とっつきやすいかもしれません。
しかし、多くの方は、会社法を理解するまでにある程度の時間がかかります。
自分も司法書士試験の学習を始めたばかりの頃は会社法が本当に苦手でした。
個々の条文を読んだ時は理解できても、少し時間がたつと知識が抜け落ちている感覚でした。
法律学習一般に言えますが、条文の存在意義・制度趣旨を理解することで知識が定着します。
その上で、インプット・アウトプットを反復すれば、知識が固まっていきます。
条文の存在意義・制度趣旨等がわかりやすく書かれているテキストを読みながら条文を読むことが効果的です。
自分も、受験生時代には上記の方法で会社法の学習を進めました。
その結果、勉強を始めて2年目に入る頃には、会社法が得意科目になりました。
司法書士試験における最重要科目とは
司法書士試験において、民法を得意科目・得点源にできれば合格が大きく近づきます。
最も出題数が多く、不動産登記法にも密接に関連する科目のため、最重要科目であると言えます。
民法の科目は、膨大な量の条文・判例を学習する必要があり、決して簡単な科目ではありません。
実際、一番最初に学習する民法でつまずいてしまう受験生も少なくありません。
一方で、民法は、他の科目に比べて日常生活の場面に置き換えてイメージがしやすいものです。
そのため、時間をかけて丁寧に学習すれば、必ず知識が身につき得意科目になるはずです。
※各科目の特徴や勉強法については、また別の記事で紹介したいと思います。